せぼねの骨折を治療しているドクターの独り言

VOL4. 背伸びをすること ― せなかが丸くならないように・・・

浜松医科大学 長寿運動器疾患教育研究講座
特任准教授 戸川大輔

『歳をとるとせなかが曲がる』。確かにせなかを丸めたままでシルバーカーを押している高齢者をよく見ます。でも、これを高齢者なら当たり前だなんで、誰も思いたくありませんよね。せなかが曲がるのを『みんなそうだから仕方がない・・・』とあきらめるのか、『私はいつまでも背筋をちゃんと伸ばしたまま長生きしたい』と思うのかによって変わる可能性もあるのではないでしょうか?

皆さんの日常生活を振り返ってみてください。すると、ほとんどの動作は『かがむ』動作であることに気付きます。新聞や本を読むとき、台所で料理をするとき・・・テレビを見るときもちょっとせなかを丸めて見ていませんか?

『肩関節周囲炎』という病気があります。別名『フローズンショルダー(凍結肩)』と言って、肩関節が固まってしまったことにより、腕を挙げる動作で肩に痛みがでる病気です。この病気は、肩関節の動く範囲を少しずつ広げるリハビリによって症状が改善します。最近の日常生活では、様々なことが便利になって腕を挙げる動作(洗濯物を干したり、洋服の収納でものを棚に上げたり・・・)、そういう動作そのものが減っているのかもしれませんね。

せなかの曲がりは、骨粗鬆症による脊椎の骨折や変性側弯症(せぼねの捻れ曲がり)といった脊椎疾患によっても起こりますが、『せなかの筋力や柔軟性の衰え』も重要な原因の一つです。せなかの曲がりは、『凍結せぼね』的な原因も関与しているかもしれません。

もちろん、せぼねの骨折を予防するお薬(骨粗鬆症治療薬)を飲むことも重要ですし、万が一せぼねを骨折した場合には、より良い形で治るようにせぼねの専門医に診てもらうことが大事なことは言うまでもありません。でもみなさん、受け身ばかりでもいけませんよ。

意識をしないと体を伸ばす運動ってしませんよね?患者さんに、『1日に最低でも3回は背伸びをしましょうね』なんていうと『そんなことで良くなるんですか?』と笑われますが、決してバカにはできません。身体の老化は避けられませんが、あなたのちょっとした努力によって身体の柔軟性や姿勢を保つ力は改善するかもしれませんよ。

あなたも1日3回 胸を大きく張って、ぐうーっと背伸びをしてみませんか?
(その際は、無理はせず転倒には気を付けてくださいね。)


 

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