骨病変の治療

主な治療には以下の方法があり、状態によって組み合わせて行われます。

抗がん剤治療

ボルテゾミブという新薬は多発性骨髄腫治療において重要な薬剤ですが、抗がん剤として働くだけではなく、骨形成を促すことも知られています。このことより骨病変の認められる患者さんには積極的に用いられることが多い薬剤です。治療効果を認める場合は徐々に骨の痛みが改善します。

放射線療法

多発性骨髄腫の骨病変に対して痛みをとる目的で放射線療法を行うことがあります。その際に必要とする線量は大体25Gy程度でほぼ100%の患者さんに痛みが軽減したと報告されています1)。除痛効果がでるまでに、1週間程度かかります。

鎮痛剤

非ステロイド性消炎鎮痛剤は多発性骨髄腫の患者さんでは腎機能障害の原因や胃潰瘍の原因になるためあまり使用しません。早めに医療用麻薬の導入が必要になる場合もあります。その場合は副作用予防の吐き気止めなどと一緒に用います。

コルセット・安静

多発性骨髄腫では日常動作でも骨折しやすいことがあります。例えば寝返りをうったりベッドで上体を起こそうとしたりするだけで圧迫骨折をきたします。このように多発性骨髄腫の患者さんは微小な力でも骨折をきたし易いので過重負荷を分散させる目的でコルセットを使用します。コルセットを使用した場合、現病の治療も含めて長期の入院が必要になります。また、ご高齢の方では活動の制限が加わりますので、著しい筋力低下や見当識障害(せん妄など)が発生することもあります。

骨粗しょう症治療薬(ビスフォスフォネート、デノスマブ)

ビスフォスフォネート製剤は骨を壊す破骨細胞の働きを抑えることにより骨病変を改善するお薬です。骨病変の改善により骨の痛みが改善しますが、改善するまでに時間がかかることと、腎機能への影響、顎の骨が溶けてしまう(顎骨の壊死)の合併症が出る可能性もあることから注意が必要です。デノスマブは強力に骨吸収(骨が壊れること)を阻害し、骨融解を抑えます。ビスフォスフォネート製剤と比較して即効性があることが特徴ですが、血中のカルシウムを低下させることとビスフォスフォネート製剤と同等に顎骨壊死を引き起こす可能性があります。

手術療法

手術法は3種類あります。脊椎固定術は、上下の椎骨を固定用の器具(金属のねじや棒など)を用いて固定し、脊椎を安定させる手術です。脊柱管内を通る脊髄や神経(神経根)が圧迫されて、麻痺やしびれ、痛みなどがある場合には、同時に圧迫をゆるめる手術(除圧)を行います。全身麻酔を用いる必要があり、切開部分が大きく術後のリハビリを含めて回復するまで時間がかかります。椎体形成術は、骨折した椎体に骨セメントなどを注入し、痛みを低減させる手術です。この方法に、つぶれた骨を元の形に近づけることと、セメントが骨の外に漏れるリスクを低くする工夫を加えた治療が、BKP治療です。2011年から多発性骨髄腫による脊椎圧迫骨折にも適用されるようになりました。

1) Leigh BR, et al: Int J Radiat Oncol Biol Phys 25: 801-804, 1993

ページの先頭へ